患者の医療情報である医療カルテは、診療を行った個々の医療機関で管理し、患者個人が請求した場合のみ患者個人に提供され、通常は医療機関の管理下に置かれ外部に出されることはない。その弊害として、病院の梯子をする患者の多発や重複検査が横行する。無駄な医療を行うために医療費の赤字も増加の一途を辿ることになる。
それらの弊害を少なくするためにかかりつけ薬局の推進やお薬手帳の制度があるが実質的には不十分で機能していない。
一方、医師にとっては診療情報提供書という一枚の書面を次の医療機関が取得し診療にあたる。しかし、一枚の診療情報提供書では患者の情報は当然に不完全で、前の医療機関で行った検査を新たに重ねて行わなければならない。しかも、患者の時系列の症状を管理するすべがなく患者への聞き取りで情報を収集するしか方法はない。
イギリスにおいては、個人の医療カルテを国が管理し、患者個人の承諾を得てどの医療機関でも閲覧ができるシステムが導入されている。ちなみにそのデータ管理のソフトを開発したのは日本企業である。
我が国において、医療カルテを公的管理または国営管理することによって患者、国家、医師の三方にとって良いことであるが議論すら上がってこない。個人情報の保護に欠けるのではとの意見もあるであろうが全く現代においては的外れである。医療カルテを公的管理にしてもシステムの設計によ個人情報の保護は十分に可能である。